二十三番〜2

sumi

2009年10月30日 17:39

今日も室戸岬に向けて歩く。足はやはり昨日と変わらず。なんせ足のことは足任せなので仕方ない。
出発して30分程歩くと、若い歩き遍路がいた。進みたかったが声を掛けられて止まった。
同じ野宿歩き遍路らしい。托鉢をしながら歩いているらしい。
「なんで歩こうと思ったの?」と聞くと
「修行です!」と元気に返ってきた。
話をするとヨーガの道場に縁があり、それで遍路に行く気になったらしい。
「そういうのに興味があるんだ〜」と言うと
「インド哲学と仏教に少し」
と。
こちらにはインド哲学の知識はないので、聞き取ろうと頭がフル回転。
「難しい…」
バックパッカーをやり世界を一周したらしい。僕にはその勇気はない。
宗教や哲学に興味があって近代を乗り越えたいと言うことは伝わってきた。
兎に角、身体を使って理解していくことは重要だ。
歩くペースが違うので先に行って貰った。

暫く歩く。足は痛いまま。休憩所があり、おばあちゃんが手招きしていた。もちろん立ち寄る。オロナミンCを頂いた。
「おばあちゃんも昔は歩き遍路してたんや〜昔は珍しく沢山取材が来たで〜」
もう40年も前の話らしい。今ほど休憩所もコンビニもない時代の歩き遍路の大変さを語ってくれた。
「今でもお参りしたくて仕方ないんや〜」
「でもな〜去年足を怪我して歩けないんや〜」
悲しそうな顔で語った。
「直接行かなくても八十八人にオロナミンC接待したら四国一周やが〜」
「そうやね〜」
ちょっと嬉しいそうに答えてくれた。
おばあちゃんにお礼を言い、また歩き始めた。
益々足は痛い。次の休憩所まで頑張る。休憩所が見つかり足を伸ばしていると、おばちゃんが冷たいタオルを出してくれた。南下しているせいか、陽射しがきつくなっているように感じる。
「ここの休憩所はな、去年から始めたんよ」
とおばちゃん。さらに話を進める。
「やり始めたらな〜お遍路さんのことが心配で心配で〜」
「休憩所閉めて、旅行に行ってても気になるんよ〜」
「ちゃんと何処かで休憩や水の補給は出来とるやろか〜って」
歩き遍路を見る目が母である。

休憩所のおばあちゃんも、おばちゃんも遍路に接待すること、話をすることがどこかで心の支えになっている。
遍路の休憩所が地元の人が集まる理由になり、接待をする人の張り合いになる。
面白い。遍路と接待をする地元の人々が癒し癒される関係になっている。
人が集まるには理由がいる。その理由はその土地にとってとても大きな財産だ。

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