四十五番

sumi

2009年11月26日 18:29

凄い霧だ。晴れか曇りかも解らない。支度を済ませて荷物を預け出立。今日は打ち戻りの行程。
霧は晴れない。太陽は出ている。霧の向こうにはっきりと太陽の輪郭が分かる。昨日打った四十四番の前を通り四十五番へ向かう。霧の中小学生達が登校している。銀行マンが店舗前の道を掃除している。朝だ。
これから坂道だというところで納経帳を忘れたことに気付く。取りに戻った。
再出発。片道10キロ。車道を少し登り山道の遍路道へ入る。落葉の絨毯だ。
「ザックザック」
と音を発てながら歩く。何人かの歩き遍路とすれ違うが挨拶を交わす程度。皆急いでいるようだ。
八丁坂を目指して歩く。人はいない。車の音もない。あるのは森と水の流れる音と木漏れ日。その中を足音と鈴の音が響く。ジブリのもののけ姫の森の様。
ところで渓の声と山の色に何を聞くんだったけ?道元さん。
八丁坂を登り切り降ると四十五番の裏へと出てくる。
四十五番は岩屋寺。その名の通り岩の中にあると言う感じだ。僕はあまり寺の形には興味がないが岩屋寺は素人目に圧巻だった。鳥取の三朝温泉近くの投げ入れ堂のようだった。山岳仏教の修行場だったのだろう。もっと古い時代の神道からの霊場なのかもしれない。
また来たい。
帰りは車道を通る。車道からの景色も素晴らしかった。土佐の海岸線も美しかったがここも見いる景色だ。
足摺岬付近にも大岩に綱をし鳥居をつけただけの所があった。人が近づけない所には仏教伝来以前の素朴な神道が残っているようだ。手紙も電話も電波も、もちろんネットもなかった頃、情報や技術を運べたのは人間だけだったことを実感した。知識や体験は身体と不可分だった。

今日は20キロほど歩いてストップ。明日から道後温泉に向けて歩く。


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