六十六番
「すみさん、今何時だい?」
深夜2時頃に声がかかる。隣で寝ている坊さんの声だ。
「2時ですよ」
「じゃ、もう少し寝るかい。」
本当はもう出立したそうな勢いだ。
4時頃にもう一度声がかかり出立することにした。坊さんが朝のお経を詠んでいる間にテントを撤収。慌ただしい。
真っ暗な山の中を歩く。昨日の疲れか全く足が進まない。
「頑張れ頑張れ」
と坊さんは発破をかけてくる。それなりに頑張っているのだが。
17キロ程歩いた所でようよう追い付けなくなってきた。ここで別れることになり握手をして別れた。色々思うこともあった。いい勉強になった。結局禅問答の答えは解らず仕舞い。
「仏教も色々だ」
一人で六十六番を目指して歩く。朝から何も食べてない。お菓子類も食べきっていた。途中で気付いたが手袋も片方なくなっていた。天気はいいがお腹は鳴る。10キロの坂道を登り六十六番に着いた。
とりあえず食べ物を探す。ロープウェイ乗り場にコアラのマーチを発見。コアラの眉毛も確認せずに口に流し込む。
「コアラのマーチは飲み物です」
納経を済ませて今度は降る。この辺りから天候が怪しくなり始めた。
どうにか集落に入り近所のおばあちゃんに寝れそうな所を聞くとお堂を教えてくれた。屋根と壁がある。外は凄い風だ。良かった。
ハロゲンヒーターもあり万全である。
後から二人遍路さんが来られた。これまでの道中話が盛り上がる。お遍路あるあるネタだ。
夕食に袋麺を食べて今日は終了。今日は暖かく眠れそうだ。
言ってみてもいいですか?
おさしみやさい。
関連記事