2009年12月01日
五十五番〜五十九番


今朝も快晴。遍路日和。昨日時間切れで行けなかった五十五番を目指す。と言ってもすぐ近く。ものの数分で到着。五十五番は南光坊。寺の文字が名に入ってない。ちょっと不思議な感じだ。納経を済ませ次へ。今度は山側を目指して歩く。五十六番も楽々到着。この辺りは札所が固まっている。五十八番まで山に向かいながら3キロずつ。
五十八番手前から山道に入る。池の周りを廻るように道が続く。気持ちがいい。
久しぶりの山道の登り、息が切れて汗が吹き出る。今日は暑いくらいの陽射しだ。五十八番からは今治市が一望出来眺めがいい。ここの通夜堂には温泉があるらしいが時間がまだ早いので先に進む。
五十九番は海側。北上する。五十九番では今日初めて団体の参拝者達と会った。集団でお経を唱えている。彼らは何を大師に望むのだろうか。
走る姿の大師像ではないが握手が出来る大師像があったので握手。歌好きなおじいちゃんを思い出す。口癖は
「今のお前なんか死ねぇ〜」
だ。
五十九番を打ち終えまだ歩けそうなので進む。途中保育園のバスとすれ違う。園児がすし詰め状態。皆で手をふってくれた。満面の笑みで降り返す。彼らは何をサンタクロースに望むのだろうか。
道の駅を発見。ここで寝ることにした。40代前半のサラリーマンが話かけてきた。
「全部歩いてるん?」
「そうですよ」
五十九番辺りに住んでるらしい。
「いつもここで仕事帰りにタバコ吸って帰ってるんだ」
「家で吸うと娘が嫌がってね」
「ホタル族ですね〜」
家族の話をしていた。2年前に奥さんを亡くされたらしい。
「今でも思い出しますか?」
「最初は服を見ただけで涙がボロボロ出てた」
「でも人間白状なもんで思い出すスパンが段々と長くなって来てるな〜忘れたわけではないけど」
「成功すると思ってた手術でダメやったもんやから〜最初は家のことなんも解らんかったわ」
「実印の場所とかね〜聞くに聞けないし」
自分の精神状態、仕事、子育て、諸々の手続き、壮絶な日々だったろう。労を労う言葉くらいしか出てこない。知識は役に立ちそうもない。
「ボロボロやったけど母親を亡くした子どものこと考えたらボロボロのままでおれんかった」
その後も娘さんの話や色々な話をした。
「娘と電話で話してると声が読めそっくりで嫁と話してるみたいやわ〜」
今はそのそっくりな声で娘さんに怒られてるらしい。
最後に
「病院から持って帰った荷物は何も手を着けずにそのままや」
と言ってた。
何故安気な遍路の僕に話をしたのだろうかと不思議に思った。また愛別離苦。
「仕方ない。誰が悪いわけでもない。文句を言う相手も居ない。」
この言葉が会話の中で印象に残った。目には哀愁があったが彼は明らかにしたんだ。
遠くに高い山が見える石鎚山か。
Posted by sumi at 19:53│Comments(1)
│行程編
この記事へのコメント
最近歩き遍路さんをめっきり見かけなくなりました
スミさん、早く追いついてー
スミさん、早く追いついてー
Posted by こめちあん at 2009年12月01日 21:13
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